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民俗芸能のつどい〜仙台ゆかりの鹿踊〜③

2015年10月11日

「民俗芸能のつどい〜仙台ゆかりの鹿踊〜」出演団体、続いては裏町一丁目八ツ鹿踊り(愛媛県宇和島市)。
こちらは以前記事でも紹介しましたように、伊達政宗の長男・秀宗が宇和島入城の際、故郷・仙台の芸能を宇和島に伝えたことで、以後400年の間伝承されているという鹿踊です。
東日本にしか見られない鹿踊が海を越えた愛媛・宇和島の地で大切に育まれ、現在ではなんと100を超える地区で伝わっているとのこと。
しかし東北の鹿踊を想像して八ツ鹿の姿を見たら驚くこと必至。
カッと目を見開き歯をくいしばる頭に、地を力強く踏みしめながら踊る勇壮な東北の鹿踊とは大きく異なり、こちらの鹿踊は張子で出来た愛らしい鹿頭に、優雅でゆったりとした踊りが特徴です。
伝えられてから400年の間に、宇和島の文化圏の中でゆっくりと変化していったんですね。
郷土芸能・民俗芸能というものが、いかにその土地の風土や文化、人々の気質によって変容し、育まれていくものなのかが分かる、大きな事例と言えます。
幕に隠れて見えづらいですが、胸には羯鼓と呼ばれる小さな太鼓を締め、それを打ち鳴らし、歌いながら踊ります。
特徴的なのはその歌声。踊り手は小学4〜6年生の、変声前の男児たちと昔から決まりがあるようで、高く伸びやかな歌声が大変美しい。
また演目は、東北のそれと共通する「めじしかくし」というもので、雄鹿が屋敷の庭に隠された雌鹿をすすきの陰に見つけ、喜び合うというもの。歌詞も非常に類似点が多い。
しかし雄が雌を激しく取り合う形をとることが多い東北のそれと比べると、やはり優しく温和な雰囲気が漂います。
こちらは宇和島市内の宇和津彦神社の例祭で毎年10月29日に奉納されるもので、実はこの後、例祭に合わせて宇和島へ向かいました。
実際に宇和島の風土を感じながら見る八ツ鹿の様子を、後日レポートいたしますね。

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民俗芸能のつどい〜仙台ゆかりの鹿踊〜①

2015年10月11日

仙台発祥後、それぞれ独自の文化圏で育まれた鹿踊り(ししおどり)3団体が、400年越しに仙台城址に集結!
本日は仙台城址内の仙台市博物館にて、発祥のルーツを同じ仙台とする川前の鹿踊(宮城県仙台市)、金津流石関獅子躍(岩手県奥州市)、そして裏町一丁目八ツ鹿踊り(愛媛県宇和島市)の3団体が一同に会す企画が仙台市・宇和島市歴史姉妹都市締結40周年を記念して行われました。
仙台発祥の芸能が遠く離れた愛媛の地に?
また芸能に詳しい方は、東北にしか存在しないはずの鹿踊りが愛媛に?と思う方もいるかもしれません。
実は鹿踊りは仙台藩の篤い庇護のもと、大切にされてきた郷土芸能。約400年前、仙台藩主・伊達政宗の長男秀宗が伊予宇和島(愛媛県)に10万石を与えられ、入城した際に、故郷仙台を思ってか鹿踊りを共に伝えたとされています。400年の時を越えて里帰りを果たすという、非常に貴重な瞬間に立ち会うことが出来ました。
太鼓を胸や腰につけ、シシ頭を頭にかぶって踊る姿は共通するものの、それぞれ見た目は大きく異なります。もとの鹿踊りは裏町一丁目八ツ鹿踊りの胸につけた鞨鼓のように、小さい太鼓だったそうです。
それが仙台から離れ、時をかけ、土地それぞれの文化圏で育まれながら伝わっていくうちに現在のような進化を遂げたということなんですね。
郷土芸能がいかに土地に根ざしたものであるか、それを顕著に伝える大きな例といえます。
しかし一聴ではわからなかったものの、イントネーションは違えど各団体が部分的に同じ唄を歌っているということに気がついたときには、胸がぎゅっと熱くなるのを感じました。まるで400年前の唄声を聴いたかのようで。
それぞれの詳しい違いは写真だけでは伝わらないと思うので、動画を交えて後ほどアップいたしますね。
また、13時半から始まったこのイベントの前に、伝書や口伝によって鹿踊のルーツとされる八幡堂(青葉区八幡町の大崎八幡宮、龍宝寺周辺)を訪問。
ここから数々の鹿踊りが生まれていったのだと思うと、フツフツと興奮が湧き上がりました。