「民俗芸能のつどい〜仙台ゆかりの鹿踊〜」出演団体、続いては裏町一丁目八ツ鹿踊り(愛媛県宇和島市)。
こちらは以前記事でも紹介しましたように、伊達政宗の長男・秀宗が宇和島入城の際、故郷・仙台の芸能を宇和島に伝えたことで、以後400年の間伝承されているという鹿踊です。
東日本にしか見られない鹿踊が海を越えた愛媛・宇和島の地で大切に育まれ、現在ではなんと100を超える地区で伝わっているとのこと。
しかし東北の鹿踊を想像して八ツ鹿の姿を見たら驚くこと必至。
カッと目を見開き歯をくいしばる頭に、地を力強く踏みしめながら踊る勇壮な東北の鹿踊とは大きく異なり、こちらの鹿踊は張子で出来た愛らしい鹿頭に、優雅でゆったりとした踊りが特徴です。
伝えられてから400年の間に、宇和島の文化圏の中でゆっくりと変化していったんですね。
郷土芸能・民俗芸能というものが、いかにその土地の風土や文化、人々の気質によって変容し、育まれていくものなのかが分かる、大きな事例と言えます。
幕に隠れて見えづらいですが、胸には羯鼓と呼ばれる小さな太鼓を締め、それを打ち鳴らし、歌いながら踊ります。
特徴的なのはその歌声。踊り手は小学4〜6年生の、変声前の男児たちと昔から決まりがあるようで、高く伸びやかな歌声が大変美しい。
また演目は、東北のそれと共通する「めじしかくし」というもので、雄鹿が屋敷の庭に隠された雌鹿をすすきの陰に見つけ、喜び合うというもの。歌詞も非常に類似点が多い。
しかし雄が雌を激しく取り合う形をとることが多い東北のそれと比べると、やはり優しく温和な雰囲気が漂います。
こちらは宇和島市内の宇和津彦神社の例祭で毎年10月29日に奉納されるもので、実はこの後、例祭に合わせて宇和島へ向かいました。
実際に宇和島の風土を感じながら見る八ツ鹿の様子を、後日レポートいたしますね。
No Comments