静岡県焼津市藤守、無形重要民俗文化財「藤守の田遊び」へ。毎年必ず3月17日に行われる、田の豊穣を祈る神事は、まさに生ものとして脈打つ芸能そのものでした。
目の前にしている間、あまりの光景に視点が定まらず、音、色、ニオイ、地元の人々がつくり上げる独特の空気感に圧倒されていたけれど、改めて写真を振り返るとその土着的な造形力やその「場」の在り方に、驚嘆する。
視覚的な強烈さだけでなく、一生懸命に、しかしあっけらかんと舞う少年たちと、神前の舞台上でお酒をものすごいペースで交わし、楽しみながら笛を吹く演者たち。その場のすべてがその場を成り立たせて「在る」。渦を巻いて迫ってくるような凝縮された時間と濃密な空間。
面や衣装における造形の起源や、祭りや地域の史実など考えを巡らせるも、あの時間の塊を前にただただ戸惑う。
私は何をみていたんだろう。一体どこに居たんだろう。
ああ、すごいものをみてしまった。
まずは経験。今年はとにかく足を動かして、日本各地の芸能や民俗品に触れたいと思います。