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徳丸の田遊び|2015年2月13日

2015年2月13日

徳丸北野神社の田遊びの様子。
今年で1020回目の奉納だそうですが、それはつまり1020年前の人々と同じものを共有しているかもしれないということ。見ている間はここが東京であるということを忘れてしまっていました。
田んぼなどない完全な住宅街の真ん中にある神社で、このような神事があるということ自体に驚きですが、かつてこの板橋徳丸地区は、非常に大きな穀倉地帯だったそうです。
毎年同じことを繰り返す芸能が内包しているものの重要さについて、改めて考えさせられることになりました。
神事では多く見られることですが、ここではすべての所作が「見立て」によって行われます。モガリ(舞台)の中央にすえた太鼓を田に見立て、その周りで稲作の各工程を見立てた神事が行われるのです。
例えば、苗に見立てた4人の子供を一人づつ順番に太鼓に乗せ、一同で持ち上げる「胴上げ」では、苗の成熟と子供の成長、子孫繁栄を祈願します。
(子供を抱える氏子のおじいさんたちが、ほんっとうに優しげな表情をしていて、なんだかそれだけでこちらも満たされる…。。)
他にも田を耕す牛や馬…?を模した簡易的な板の面がでてくるのですが、この絵付けもかなり独特で興味深い。(墨が随分きれいに残っているけれど、これは毎年作り変えているのかな?この、ヘタウマとだけでは到底言い表せない魅力はなんなんだろ…)
それを、氏子衆が笑い合いながら「おや、良い顔だなぁ」とか、子宝の象徴である、妊婦姿をした娘面(中身はおじいさん)には「今にも生まれそうなんじゃないか」などと冗談を投げたり。
芸能の良さは、神事そのものの興味深さだけでなく、その土地が育んできた土地の空気や在り方も同時に感じられるということなんだよなぁ、と、毎度のことながら感じたのでした。

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新野の雪まつり|2015年1月14日

2015年1月14日

国指定重要無形民俗文化財、長野県阿南町新野の雪まつりに来ています。雪そのものを稲穂の白い花に見立てて奉納し、五穀豊穣を祈る、非常に珍しいお祭り。
毎年1月14日(〜翌15日)に行われますが、一昨年に豪雪に見舞われ、来訪を断念した苦い経験を踏まえて今回は前乗りです。
とはいえ、13日には同地区にある諏訪社での例祭が行われます。
そこでは、翌日に行われる伊豆神社例祭に向け、役を決めるクジ引きや、身を清める「御滝入り」(実際に裸で滝打ちする)、ササラを打ち鳴らす舞等が行われますが、特に印象的なのは面に色を足す「面化粧」。「面化粧」は、必ずその年の色として胡粉、墨、砥の粉(朱)の三色を少しずつ足し、命を吹き込むというもの。
今まで面に手を加えるような場面をみたことがなかったのでかなり衝撃的でした。
明日の伊豆神社例祭に向け、今日はもう寝ます。

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下栗霜月祭り|2014年12月13日

2014年12月13日

長野県遠山郷、下栗での霜月まつりにきています。日本全国の神々に湯を献上。中祓いで神々をおくりかえし、いよいよクライマックス、神面の演目にて土着神の40もの面が登場します。

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二丈深江神幸祭行列|2014年10月19日

2014年10月19日

糸島市二丈深江神幸祭行列。結婚前の青年たちによって神輿が海岸の御旅所まで運ばれます。暑い中、時折、声出せ!!と励まし合いながら、600m程の道のりを約1時間半かけてゆっくり進んでいきます。

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下名栗獅子舞|2014年8月24日

2014年8月24日

8.24 下名栗獅子舞 諏訪神社例大祭
見に行くのは2回目となった下名栗獅子舞。やはり何度みても素晴らしい。
演目が始まれば一気に胸が熱くなる。舞は相も変わらず力強く荒々しくも美しい。
すぐに去年の興奮が思い起こされた。
独特でクセのある囃子笛のイントネーション(その後一週間は身体から抜けなくなる)、淡々と拍子をとるささら、それに合わせて頭を振り、円を描きながら駆け抜ける獅子。
わぁっと心が弾む。
私は下名栗のその活気に満ちた雰囲気がとても好きだ。
例大祭では全部で7つの芝(こちらでは演目のことを「芝」というらしい)が行われる。
「御宮参り」…獅子行列が社殿をまわりながら参拝する
「花懸り」…小学生の女の子がつとめる赤い花笠を桜に見立てて、獅子がその美しさに酔う様を演じる
「三拍子」…国家安泰、五穀豊穣五穀豊穣、志氏繁栄を祈る舞
「棹懸り」…川に見立てた竹棹を渡ろうとする姿を演じたもの
「女獅子隠し」…三匹の獅子のうち頭が金/黒のものを男獅子、赤いもの(お歯黒もしている)を女獅子とするのだが、その二匹の男獅子が女獅子を取り合おうとするもの
「白刃」…悪魔払いの祈願を込めた芝。真剣を使って舞いながら獅子の羽を切る。
9時から18時頃まで続く長丁場なのだが、長いもので1つの芝でなんと2時間を越える。舞手はもちろんのこと、囃す者も見物人も、かなりの体力勝負になる。息も絶え絶えの舞手をじっとみつめ、囃し、応援しながらまるで自分も舞の一部になったかのような錯覚に陥る。
さらにハイライトである芝「白刃」では、よく研がれた真剣を手に持った者と、獅子とが激しく舞絡む。獅子頭に頂く山鳥の羽を、切り落としながら舞うのだ。
当然危険が伴う。厳しい緊張感のなか、その場のすべての生き物が息を潜め、拍子に合わせて呼吸まで混じり合って行くかのような一体感。
またこの場の空気を感じたいと思わずにいられなくなる。
ちなみに、この白刃を舞って始めて舞手は1人前とされるのだとか。

思い返しながら文章を書くだけでドキドキしてくるのだからすごい。
また一週間、頭からあの囃しが抜けなくなりそうだー。

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長瀞猪子踊り|2014年4月13日

2014年4月13日

長瀞猪子(ながとろしし)踊り
門打ち(各民家の前まで練り歩き、踊る。門付け、門ぶち等とも)、日枝神社での全十二演目奉納の様子レポ。
猪子はお腹に小柄な太鼓を抱える太鼓踊り系ですが、笛太鼓と桃色の花笠を被ったササラによる拍子が軸。
それに合わせて猪子八頭、鉦四名がそれぞれ小太鼓と鉦で調子をつけながら舞います。
(今回は残念ながら、メンバーの都合上猪子は五頭でした。
長瀞猪子踊りは山形のシシ踊りの中でも後継者育成に力をいれ、群を抜いて若手の踊り手が多く、活発。その姿は他のシシ踊り団体にも影響を与えているそう。
それでもなかなか八頭揃うことは稀だというので、他の団体の苦労も偲ばれます。)
全十二演目のなかでも、特にクライマックスと呼ばれる「狂い」では、雌猪子と雄猪子が戯れ狂う踊りとして演目後半に大跳躍するのですが、この迫力がまたすごい!中は汗だくだろうに、決死の思いで思い切り飛び跳ねる姿には鬼気迫るものを感じます。
またカシラの山鳥の毛をゆらゆら動かす頭の動かし方、その際の腕のしならせ方等の振り自体の美しさや、演目中に拍子に合わせて次々と立ち位置を入れ替えていく構成の絶妙さは、長瀞の特徴であり、他にはない唯一のものだそうです。

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奥三河御園の花祭り|2013年11月9〜10日

2013年11月9日

奥三河御園の花祭り
頭から「てほへ」の無限ループが離れない。
険しい渓谷沿いに、天竜川の遥か上流の小川を眼下に覗きながら、山の奥へ深く深く分け入った先の秘境に奥三河御園地区がある。
到着したのは19時頃で、すでに祭りは始まっていた。
舞庭(まいど)と呼ばれる土間の中心につくられた竈に湯釜が置かれ、舞手はその湯釜のまわりで一晩中舞続ける。
神事を含めると演目は30を数え、衣装も面も様々で華やか。
特に山見鬼と朝鬼(茂吉鬼)の紅白の装束は本当に美しく、しびれるほどかっこいい!
中でも印象深いのは、舞手も囃し手もじっとみつめる観客も、みんな同じ目線の高さで、境がないこと。舞は土間で行われるのだ。そして盛り上がれば盛り上がるほど、ざぜちの美しい湯葢の下でおしくらまんじゅう状態になる。
「神遊び」という言葉を初めて知った。神仏の権現としての舞手と共に舞うことで神仏と交遊し、穢れを払われ清められ、生命力を回復させるのだそうだ。冬になり、エネルギーが沈下するなかで種種に再生を促す。
一緒になってお神酒を頂き、踊って歌って囃し立てる。
ハイライトは翌朝の9時頃、その場の全員が精魂尽きてる状態のなか始まるのが「湯ばやし」。何時間も舞い続けている若衆が、絞り出すようにさらに1時間程舞った後、一晩中かけて湯釜に溜め込んだエネルギー(湯)を、唐突に観客めがけて一斉にぶちまける。
自分たちが楽しくてやってる、とニカニカしながら舞手を励まし、煽る男衆たち。
全身ずぶ濡れになりながら、なんてすごい土地なんだろう、と、お酒の入ってガンガンする頭がしびれる。
よろずの神様と人とが全部一緒にもみくちゃになって生気を再爆発させる、本当に不思議な空間だった。
釜からあがる湯気と人の熱気が合わさって生み出された上昇気流が、円を描いてまた体に降りてくる、そういう渦があったと思う。
来月訪ねる、同じ湯立神楽系列の遠山郷霜月祭りには、是非昼の神事から見たい。

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津まつり|2013年10月12日

2013年10月12日

三重県津市無形民俗文化財のしゃご馬と唐人踊り。今日一日中、門付け(一軒一軒お家を回って奉納舞をする)で町を練り歩きます。なんじゃこりゃーー

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磐司祭シシ踊|2013年8月3日

2013年8月3日

山形県山形市山寺立石寺 磐司祭シシ踊
立石寺近隣のシシ踊5団体が奉納踊をするとのことで、東京から車を走らせること約5時間。割とさっくり到着。漢字の「山」の成り立ちそのもののような可愛らしい山並みが眼下に広がり、日本昔話の世界を連想させる。
シシ踊参加団体は沢渡獅子舞(東根市)、平山獅子踊(長井市)、長瀞猪子踊(東根市)、高擶聖霊菩提獅子踊(天童市)。
それぞれ位置する地は近いはずなのに、指すシシが異なるため総称も「シシ」踊。踊方も跳躍を含んだ勇ましいものから花に酔う様を表す優美なものまで。
演者も老若混じったもので、境内のあちらこちらで種種の獅子頭や山形らしい色とりどりの花笠を纏った姿が見られ、目の端々に演目前に若衆に指導する年長シシたちがとまる。
その賑やかさに始まる前から胸がいっぱいに成りつつ、試し吹するお囃子にさらに体を震わす。
それぞれの演目については長くなってしまうので割愛するとして、
初めてしっかりとシシ踊を見るものとしては贅沢極まりないラインナップでした。
成り立ちの起因が山岳信仰であるものや、農民の娯楽のためのもの、死者供養のためのものなど目的が異なったり、それぞれ振りが伝わったのが岩手からだったり福島からだったり。
高擶は特に不思議で、立てかけた藁人形を倒して悪霊をはらう「カカシ」等の演目は岩手のものを踏襲している一方で、普通1頭の女獅子が唯一ここではなぜか2頭を用いているようで。
近接した地域の中で、芸能にここまで広がりがあるのにも驚かされる。
発祥当時の物流や人の行き来を想像させて興味はつきません。
またシシ頭につける角は、地元の猟師さんに頼んで捕まえた山鳥の羽を必ず使うそうで。折れてしまったら前もって言っておかなければならない、というお話もきけました。シシの精霊を宿す場所として今尚きちんとその在り方を守り、それを誇りにしているのがよく伝わってきました。
そして帰郷してからの通勤中、録画した長瀞猪子踊を繰り返しみてはうっとりするのでした。。
24歳女…。

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山あげ祭|2013年7月27日

2013年7月27日

栃木県那須烏山市で450余年続く国指定重要無形民俗文化財、八雲神社例大祭の奉納歌舞伎「山あげ祭」へ行ってきました。
山あげ祭の「山あげ」は舞台装置の主体である、和紙で貼られた高さ十数mに及ぶ「山(大山)」をあげる行為そのものを意味しています。祭自体、演じられる奉納歌舞伎だけでなく「山」を組む行為そのものを最も重んじているようでした。
目測幅6m、奥行なんと100m以上の市街路を効果的に用い、歌舞伎舞台を初めにして手前(前山)•中間(中山)•奥(大山)それぞれに異なる高さの「山」を設置。正面から見ると異様なまでに遠近感のある舞台となります。
山あげは那須烏山市を構成する6つの町持ち回りで毎年担当が変わるようで、今回は鍛冶町というところが担っていたよう。山あげ発祥時より山の高さや空間的な奥行きを生かした演出の効果を町ごとに競い合ってきた結果、現在のようなかたちになったそうです。
祭は三日間続き、一日5〜7公演を市の中で場所を変えて行うというのだからすごい!山あげを行う早さも競うポイントなんですね。縄の締め方や道具、釘を一切使わぬ木組みの扱い、瞬間的な山の配置の決定、すべて流れるような技と采配に驚く。
巨大なものを多勢の若衆が立ち上げる行為はどこか加藤翼さんの作品を思い起こさせるし、当然市街地なので舞台の間を普通に人が通っていくし。「舞台」の場性とは?なんて考えたくなるけれど、状況を整理しようとする前にまず現場の熱気にわけも分からず興奮するし。
当日案内してくださった保存会の方のお話もとても印象的でした。「何にもないとこだが、この時期だけは老いも若いもみんながこの地に集まって再会し、団結して、山をあげる。逆に盆に人が集まらない、笑」
本当にたくさんの若者が集まって、年長者を敬い、地元の祭を誇ってひとつの世界をつくる様を、不思議な気持ちで見ていた。
本格的に民俗芸能を見始めて4ヶ月。色んな場所に赴くたびにその在り方、在る理由がゆっくりと体を伝わって行く。