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山あげ祭|2013年7月27日

2013年7月27日

栃木県那須烏山市で450余年続く国指定重要無形民俗文化財、八雲神社例大祭の奉納歌舞伎「山あげ祭」へ行ってきました。
山あげ祭の「山あげ」は舞台装置の主体である、和紙で貼られた高さ十数mに及ぶ「山(大山)」をあげる行為そのものを意味しています。祭自体、演じられる奉納歌舞伎だけでなく「山」を組む行為そのものを最も重んじているようでした。
目測幅6m、奥行なんと100m以上の市街路を効果的に用い、歌舞伎舞台を初めにして手前(前山)•中間(中山)•奥(大山)それぞれに異なる高さの「山」を設置。正面から見ると異様なまでに遠近感のある舞台となります。
山あげは那須烏山市を構成する6つの町持ち回りで毎年担当が変わるようで、今回は鍛冶町というところが担っていたよう。山あげ発祥時より山の高さや空間的な奥行きを生かした演出の効果を町ごとに競い合ってきた結果、現在のようなかたちになったそうです。
祭は三日間続き、一日5〜7公演を市の中で場所を変えて行うというのだからすごい!山あげを行う早さも競うポイントなんですね。縄の締め方や道具、釘を一切使わぬ木組みの扱い、瞬間的な山の配置の決定、すべて流れるような技と采配に驚く。
巨大なものを多勢の若衆が立ち上げる行為はどこか加藤翼さんの作品を思い起こさせるし、当然市街地なので舞台の間を普通に人が通っていくし。「舞台」の場性とは?なんて考えたくなるけれど、状況を整理しようとする前にまず現場の熱気にわけも分からず興奮するし。
当日案内してくださった保存会の方のお話もとても印象的でした。「何にもないとこだが、この時期だけは老いも若いもみんながこの地に集まって再会し、団結して、山をあげる。逆に盆に人が集まらない、笑」
本当にたくさんの若者が集まって、年長者を敬い、地元の祭を誇ってひとつの世界をつくる様を、不思議な気持ちで見ていた。
本格的に民俗芸能を見始めて4ヶ月。色んな場所に赴くたびにその在り方、在る理由がゆっくりと体を伝わって行く。

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