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八重畑熊野神社例大祭と春日流八幡鹿踊|2016年9月14日

2016年9月14日

「素敵なお祭りだなぁ」と、独り言のようにぽそっと呟いた一言に、
「これが八重畑の当たり前なんだよ。」
「この当たり前に、神様が宿るんだよ。」と、静かにかえってくる。
9月14日、2年ぶりに伺った八重畑熊野神社例大祭(岩手県花巻市石鳥谷町)で、一番印象に残っているやり取りです。
郷土芸能や祭礼というもののそんな在り方に、もしかしたら私は一番感動しているのかもしれません。
私にとって、こちらは門付けの芸能を生で見た初めての祭礼で、ここから私の芸脳人生(笑)は始まったんじゃないかなぁと思いくらい、印象的で、衝撃的な出会いでした。

今回は春日流八幡鹿踊の藤原さんや、石鳥谷町でこの春から地域おこし協力隊として頑張っている安部さんにご案内いただいての再訪です。
八重畑の熊野神社例大祭は、八重畑の方々によるお神輿の巡行に、同地区の関口神楽や十日市神楽、そして春日流八幡鹿踊が同行し、地区内の民家をめぐり、一年の五穀豊穣、無病息災を祈願するもの。
田園や民家の中を一行が進んでいく光景は素朴だけれど荘厳で、涙が出るほど美しく、大らか。
大地に根ざす力強さを感じさせます。
個人的に、9月はボッコボコになるくらい忙しいのですが、そんな時期だからこそ、2年前に見たあの光景を思い出し、再訪したいなぁと思ったのでした。
会いに行きたい人たち、また見たい景色があるということは、とても幸せなことです。
今回、大変畏れ多くも神楽の鉦打ちをさせていただきました。
その時のことが脳裏に焼き付いて離れません。
門付け先の座敷に上がらせていただき、薄暗い家内から強い日差しの中で輝く神輿に向き合い、神楽の皆様と共に正座します。賑やかだった道行きから一転、静謐な空気で満ちる空間。太鼓に合わせて鉦をひとたび打つごとに、静かに無心になっていくのを感じました。
神楽が終わると、鹿踊が奉納されます。家の中から見る、初めての鹿踊。
いつもの明るい日差しの中で見る鹿踊りとは違う姿。
悪霊を鎮め、五穀豊饒を願い、暮らしの安寧を祈るその踊りの、なんと厳かで優美なことか。
神社の中から、神様はこんな風に鹿踊を見ているのかななんて、鉦打ちを終えて放心した頭でぼうっと思いました。
奉納を終えて、もてなし(門付け先では、美味しい料理がたくさん振る舞われる)を受ける一行を眺めていると、鉦を手渡してくださった神楽の方がゆっくりと近づいてきて、一言。
「祭りは神官が居ればできるというものではないんだよね。」
獅子頭や神饌、神輿があり、それを担ぐ人々が居て、神楽や鹿踊があって、それをもてなす人々が居て。全部が欠けることなく揃って、初めて「祭り」になる。
「そういう景色が当たり前にあるから、神様も安心して降りてこれるわけ。
鉦、どうだった?神楽の一部になってたね。」
聞いた瞬間、胸がいっぱいで張り裂けそうになります。
私が八重畑の祭礼に惹かれる答えが、その一言にあるように感じられました。
今回、八幡鹿踊の皆さん一人一人と道行きの中でゆっくり言葉をかわすことが出来たのも、とても嬉しいことでした。それぞれの鹿踊に対する、情熱的とも言えるあついあつい想い。
本当にかっこいいです。話をしていて、何度も涙が出そうになりました。
鹿踊とはなんなのか。鹿踊を継承するとはどういうことなのか。
もっともっと時間をかけて、ゆっくり、感じていってみたいです。
2度来たら、3度目はもっともっと来たくなる。
次は来年かな。もっと早くに行っちゃうかな。またみんなに会いたいな。
心からそう思わせる祭礼です。
こんな素晴らしい出会いのきっかけを与えてくれた、春日流八幡鹿踊のみなさんに、心から、感謝です。
また必ず、行きますよー!

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