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猟師町羯鼓(かんこ)おどり|2016年8月13日

2016年8月13日

三重県松阪市猟師町かんこおどりを訪ねました。
やはりお盆のまつりは一層エネルギーが強くて、胸がずっとぎゅっとしている。
海念寺という町寺からスタートして、初盆の家々を三日間、毎日夜から朝まで踊って回ります。
初盆の各家での踊り子はその家の親族がやることになっていて、回った家のほとんどが故人の息子さんやお孫さんが務めているようでした。

家の人々は踊りのために絨毯やゴザを敷き、飲み物や軽食を用意して町内の人々をもてなし、その家の男児は亡くなった自分のおじいさん、おばあさんのために、踊りを精一杯披露する。
故人の中には、唄や踊りが好きで盆に熱心に貢献されていたという方も多く、その家では「おまけ」「おまけのおまけ」の音頭でどんどん長くなって、踊りもエスカレートしていきます。
汗だくで、一心不乱に踊る踊り子たち。

ある家で、踊り子に対して「亡くなったおじいさんに踊りも背格好もそっくりだねぇ」というおばあさんの声が聞こえました。
そこには少しだけ、ゾクッとするようなものを感じて踊り子に目を向けます。
踊り子は顔をサラシで覆い、一見誰だか判別がつかない。
踊りの間だけ、そこに故人が降りてきても良いよ、一緒に踊りましょうという、まるでそんなサインのようにも感じられたのです。

また、猟師町の人々は子供から大人まで、本当に太鼓や踊りが好きで、地元が好きでという方が多いようで、一様にみんな目をキラキラと輝かせていたのがとても印象的でした。
音頭取りやうちわ踊り(踊り子の周りでうちわを手に踊る)の年長の面々も、ここぞとばかりにエネルギーを発散します。
深夜〜明け方にも関わらず、煌々と灯りを照らし、高らかな音頭と笑い声が絶えない時間。
1軒につき、40分〜1時間ほどでしょうか。
それを涙を目に浮かべて手を合わせながら見つめ、一行が去る際には頭を大きく下げて感謝を伝える、そんな家の方々の姿に、初盆の悲壮感とはまた違う、何か言葉では形容できない感情を覚えました。
町中の人々の、様々な感情とエネルギーの渦がぐるぐると混ざり合い、攪拌されていくような空間、時間。
こうして太鼓の音と賑やかな笑い声を伴いながら、灯りは猟師町中を朝まで点々と移動し続けていきました。

今日は、一昨年伺った隣町の松ヶ崎かんこ踊りを訪ねます。

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